生かされていることへの感謝を
8月の年中行事と言えば、盂蘭盆会。
お盆、という呼び方が一般的ですね。
祖先のご供養を行う大切な行事です。
林丘寺でもキュウリの馬とナスの牛を用意して、
祖先の皆様が馬でお越しになり、牛でゆっくりお戻りいただけるようにしています。
もう一つ、欠かさず行っているのが施餓鬼という行事。
仏様が弟子たちに説いた教えの一つ、「仏説救抜焰口餓鬼陀羅尼経(ぶっせつぐばつえんくがきだらにきょう)」に、その由来となった出来事が記されています。
少し紹介しておきましょう。
仏様の弟子に、阿難という方がいました。
阿難はあるとき、餓鬼に死を告げられてしまいます。
餓鬼とは、生きている間に悪いことをしたために仏教の世界でいう餓鬼道へと落とされ、餓鬼という鬼となった魂のこと。
たえず喉の渇きと飢えにさいなまれ、自分の力ではその苦しみから抜け出すことのできない存在です。
そんな餓鬼に死を宣告されたのですから、阿難はどれほど驚いたことでしょう。
仏様は阿難に、陀羅尼を唱えて餓鬼に食事を施すようにと教えました。
阿難がその通りにしたところ、餓鬼は救われ、自分の寿命も延ばせたといいます。
こうした物語から施餓鬼は生まれ、いまに引き継がれているのです。
人間もまた、動物や植物の命をいただいて飢えを満たす存在。
施餓鬼は命の循環や食べ物の大切さをふりかえり、感謝を捧げるよい機会かもしれません。