お気に入りの家具や調度品で夏を楽しく
三方を山で囲まれた京都は、気温と湿度が上がりやすい夏と、底冷えする冬とで知られています。
それぞれの季節を快適に過ごすために生まれたのが模様替えの行事です。
始まりは平安時代にさかのぼり、鎌倉時代からは衣服に加えて建具や家具、調度品も替えるようになったと言われています。
こうした文化を育んだ先人たちの知恵に感謝しつつ、年に2回、5月と9月に模様替えを行っているのです。
まずは寒風から私たちを守ってくれた襖と障子を取り外し、御簾に取り替えます。
じりじりと肌を焼く日差しをさえぎり、風を通す簾は本当に素晴らしい発明。
温暖化した現代ではさすがにエアコンの力を借りざるをえない日もありますが、盛りをのぞけば十分に涼を取ることができます。
畳にも夏の装いを。湿度を調整してくれる籐莚の、ひやっとした肌触りはまさに救世主。作務の合間のリフレッシュ、夜の睡眠を助けてくれています。
このほか、夏仕様の家具でのお気に入りは、黒谷和紙のお座布団。
厚口の和紙を使った丈夫でサラッとしたお座布団は、お客様をお迎えするにもぴったりです。
冬を心地よくしてくれた品々をしまう時には、『半年ありがとうございます。夏の間はゆっくりお休みくださいませ』とお礼を伝えて。
すっかり涼しげになった部屋を見渡し、夏の家具や調度品に『また秋までよろしくお願いいたしますね』と挨拶したその時から、林丘寺の夏が始まります。