林丘寺

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愛らしいたたずまいに王朝文化を想う

陽気がさしこむ出窓には博多人形の立雛を。
お部屋には三春の一閑張のお雛様。
いずれも可愛らしい表情で、華やぎを添えてくれています。

「内裏雛」という名前が示すように、雛人形は天皇と皇后が住まわれる内裏の様子を表したもの。婚礼の場面とも、平安宮で左近の桜が咲く頃に天皇が主催した宮中遊びの様子を描写したとも言われますが、私は後者の説がお気に入りです。

なぜなら、林丘寺に隣接する修学院離宮でもかつてさまざまな催しが行われていたから。
濃茶を飲みながらのお月見や浴龍池での舟遊び。教養人として知られた後水尾上皇なら、蹴鞠、歌合せといった平安王朝から受け継がれた文化もその場に取り入れたことでしょう。
そうした在りし日の光景が、お雛様を出すたび脳裏に浮かぶのです。

お雛様を飾った窓から聞こえてくる楽しげな声もイメージを後押ししてくれます。
思い思いに修学院離宮を巡る人々の笑い声。広大な景色に心を奪われ思わずもれた感嘆の声。来し方の宴でも、同じような歓声が上がったに違いありません。

そんな王朝文化の美意識をお雛様に重ね、弥生を楽しんでいるのです。

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