林丘寺

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冬の訪れを告げる白つばき

京都でも有数の景観が広がる修学院。
街の喧騒を離れた田園の中に、私たちがお守りする林丘寺はあります。

第108代天皇・後水尾上皇が第八皇女・朱宮光子内親王のために建てたことから、朱宮御所(音羽御所)と呼ばれていた林丘寺。
1680(延宝8)年の後水尾上皇ご逝去を機に内親王がご出家し、御所を門跡尼寺とした時にその名前を変えました。

上皇の足跡の一つが、境内に咲く白侘助です。つばきの中でも茶人に好まれる侘助を選ぶところに文化人としても有名だった上皇のお顔が垣間見えます。

日当たりのよいところでも日陰でも育てられるけれど西日はダメ・日陰ではなるべく明るい場所がいいという条件があったり、乾燥や害虫対策が必要だったりする白侘助。美しい花をつけてもらうにはこまめなお手入れが肝心で、現在は時に応じて庭師さんにお願いして枝の剪定や切り戻しを行っています。

実はこの白侘助、京都府立植物園で開催されるつばき展の常連でもあるのです。
花器に入れた白侘助の風情に「由緒のあるお寺にふさわしい品格を感じる」といった嬉しいお言葉をたくさんいただいています。

上皇がお手植えになられてからおよそ350年、こうしたご評価をいただけるのは代々の住職が気を配ってこられたからこそ。毎年11月半ば、枝いっぱいに花をつける白侘助を見るたびに「先代に倣い、大切なこの花を守っていこう」という気持ちを新たにしています。

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